の部屋、食堂、いつも通る廊下。
その全てを女官、文官、兵士達にも捜索させたが、はどこにも居なかった。

しかもが城内から出ていく姿を誰ひとり見ていないとなると、誰かに掠われてしまったという可能性も出てくる。

これは大事だと、馬岱へ諸葛亮に報告に行くよう命じ、馬超はもう一度自分の部屋から厠の廊下をゆっくりと辿ってみた。










「(が行く場所…か)」










何度も何度も同じ道を往復してみる。

何か手掛かりになるものがあるかもしれないと、足元にも注意して往復するがそれらしいものは見当たらなかった。

豆でも石でも蒔きながら歩けばいいものを。
早く見つけたいのに見つけられない、そんな自分の不甲斐なさに苛立ちながら、大きく息を吸い込む。









、どこだ!いたら返事をしろ!」








城内を木霊する自分の声。
敵に情報を漏らすようだが、そんなことは言ってられない。






「ここらにはいないのか…」






さっきの自分の呼びかけに応える声を探すが、そんな声はない。






西の空には茜雲。
じき、夕暮れ。





暗くなる前にを探し出さなければ捜査は難航するだろう。
せめて足跡でもなんでもいいから見つけられないだろうか…。

今度は食料を蓄えてある倉庫の方へと足を進めようとした瞬間。
一瞬何かが横を通り過ぎた。











「(矢か?!)」












素早く懐に隠しておいた短刀を取り出す。

昼間の刺客だろうか?

少しで沈んでいく夕日を背に、辺りを見渡すが、矢のようなものは落ちていなかった。



では今、何が横を通り過ぎたのだろうか…?










「…あれか?」








もう一度周りを見渡した後、足元にふわりふわりと浮かぶ小さな緑色が目に入った。

今まで魂を見たことは無いが、多分魂のような…そんなものだろう。
きっと悪いものではない。

その緑は馬超の周りをふわふわと浮遊した後、暗がりに沈む道を緑色に照らした。
馬超が近付けば進み、一歩下がればその場をくるくると浮遊する。




ついてこい、と言いたいのか?




フワリフワリと馬超を待つその光に、どこか懐かしさが漂う。

多分、着いて行っても大丈夫。
きっとのところに行ける。








「案内してくれると信じてるぞ」







何故かわからないが、そう思える不思議な光の後を馬超は無言で付いていった。






















































「ここか、がいるのは…」







厩の前までくると、その光はぱっと消えた。
一体それがなんだったのかは分からないが、馬超は弾かれたように厩の扉を開けて中を見渡した。

馬は皆繋がれて大人しくしている。
自分の馬も大人しくこっちを見て、ぱちくりと瞬きをしていた。









「この中のどこか、だろうな」







全くアイツはどうしてこんなところに来たのか…。
まだここに居ると決まっているわけではないが、きっとここに居る。
何故ここに来たのか、その動機が知りたい。

可笑しな奴だなと、溜息をついて厩の中を見て回った。









「おーい」





…。





ー…」





返答は、無い。






「…どこにいるんだ…アイツは…」










やはり変な光についていったのがいけなかったか…。
今思えばなんであんなに確信していたのだろうと自嘲してしまう。







「絶影、お前見てないのか?」






ブルルと鼻を鳴らして、「さぁ?」と言うようにそっぽを向く。







「意地悪な奴だな」






俺に似たのか?
折角厩に来たのだから、絶影に餌をやっておこう。

藁が山盛りに積んであるところから、藁をどっさりと持ち上げる。
そこに見覚えのある印が目に入った。



















「こんなとこに居たのか!!」
















アトガキ


ふふふ…一ヶ月以上も経ち、やっとの更新ですw
しかもだんだん文章が変だ…!!!汗
多分年末あたり、全体見直しにかかるやもしれません。

さーてさて、ヒロインさん見つけました。
緑の光、なんとなく、わかりましたかね…?汗
次回はきっと皆に怒られる、やもしれませんね笑^^;

2007.9.3(Mon)