秀麗の家を全体的に見て「でかいなぁ」と感じた。
日本にこんなでかい家を持つ人と言えばセレブな人達ぐらいか。

秀麗の家だけでも広くでかい家だと思っていたのに、これ以上の大きさとは…。




は口をあんぐりとさせて、朝廷の門を見た。




あの秀麗の家の門よりも数倍でかいし、見栄えもよかった。
壁のひび割れが何処にも無かったところを見ると、やはり朝廷とあって金持ちなのだろう。






そんな場所に男装して働きに行くなんてたいした度胸だ。

バレた時には怖いものがある。






「(侍女とかじゃ色々覚えなきゃいけないんだろうし…男装とか面倒だけど邵可さんの手伝いの方がいいよなぁ…)」






お世話になってる秀麗達に恩返しができるならなんでもやってやろうじゃないか。


そのままボケーっと朝廷の門を見ていると「!」と呼ばれた。
隣にいたはずの秀麗が、いつの間にか門から遠ざかってに苦笑しながら手招きしていた。





「買い物の続き行くわよ?」

「わかった!今行く!」





少し歩いたところで秀麗がを見てクスクスと笑いだした。

いきなり笑いだして…なんだろ?
何か変な所があるのか?と一度辺りを見渡した。






「なんか変?」

「あのね、なんだか昔の静蘭みたいで…フフフ」







げ、あの裏表激しい奴と一緒かよ…。


大分失礼なことを思いながらは朝廷の門に背を向けて秀麗の隣へ来た。


静蘭のように見えるのは静蘭のお下がりの服を着ているからであって。
言われて嬉しい…とは到底思えなかった。
ただ、肩まである髪の毛を秀麗によって静蘭仕様にされたので気持ち似ているかもしれない。


もちろん顔は似てない。






「これなら女の子ってわからないわよ」

「分からないように振る舞わなきゃね…」

「それを今日練習するのよ。静蘭みたいに振る舞うのはあれだけど…男の子らしく振る舞ってみるのよ」


「…わかりました、お嬢様」





少しだけ声を低くして静蘭のような畏まった返事をする。
秀麗は「今のよかったわよ」と言ってお腹を抱えて笑い出した。












目標第一:「秀麗ちゃん、男の子連れて買い物かい?」というように、近所の人にを男の子と間違えさせる。







珍しい野菜、見たことのある野菜がズラリと並ぶ店頭で秀麗とは不自然な笑顔を浮かべて品々を眺めていた。
普通を装いたいのだが、変に緊張して顔が強張るばかり。






「目標…達成しないとね…」

「そ、そうだな…」






さっきから店のおばさんがこちらをチラリと見ては頭を捻り、何かぶつぶつと呟いている。
目標を達成させるためにも今晩のおかずとなる野菜を手に取らねば…。







「ゆ、夕餉は野菜炒めはどう?」

「いい…いいと思う」




せかせかと手当たり次第に野菜を手に取る秀麗。
野菜炒めなのに炒めるのに適してない野菜が多いが…動揺して気付いていないようだ。






「秀麗…落ちつけよ…」

「あ…そうね…」

「秀麗ちゃんったら、新妻みたいねぇ…。彼は静蘭君の友達かなんかかい?」






アタフタしている様子を見兼ねて、おばさんがついに口を開いた。





「あたしゃ夫かと思ったけど…実際どんな関係なんだい?」





2人がニンマリとしてお互いに顔を見合わす。
間違いなくおばさんはを男の子と間違えている。

これで目標−壱が達成できた。






「おばさん、は私の友達なの。夫じゃないわ。」

「そうなのかい?静蘭君もカッコイイけど彼も負けてないわね」

「ありがとうございます」

「それじゃおばさん、これ買うわ」

「はいはい!」






おばさんは手際よく野菜を籠に入れると秀麗からお金をもらって、
最後に玉葱のようなものをおまけに籠に入れてくれた。



これで目標一壱、達成。











「秀麗、次の目標なんだっけ?」

「次?もちろんおばさんに認めてもらえたときたら次は?」









「…おじさん?」





「当たり!次は私の生徒のところに忘れ物を届けに行くから、そこで目標達成するわよ!」




ちなみにこの目標らは秀麗の父、邵可が出してきたもの。
その出題を聞いた静蘭は気の毒そうな、哀れむような、馬鹿にしたような目で見て笑い、
秀麗は面白そう!と目をキラキラさせて言った。



そんな面白がられても…。

だが静蘭だけはカンに障る。








「早く、!」

「はいはい…わかってるよ」






次に向かうは生徒の家。
届けなければいけないというのは生徒が道寺忘れて帰ってしまった、筆。

そういえば秀麗は子供たちを集めては勉強を教えてるらしい。
くらいの歳なのに勉強を教えてあげれるなんて、どれだけ頭がいいのか。



ふと姉のかごめが数学を教えてくれた時のことを思い出した。


最近のことだ。


自分の隣には犬夜叉が座ってポテトチップスをバリバリ食べていて、かごめはそれを気にせず数学のワークの解説をしてくれた。
…所々違うような気はしたが。








「懐かしいな…」

「何が?」

「私には秀麗みたいな姉貴がいるんだよ。少しだけ秀麗が姉貴に見えてね」

「ふーん…きっとのお姉さんは貴女の帰りを待ってるでしょうね…」







待ってると言うよりも、家族に帰りを待たせている人側の人間だ。
今も戦国時代に行って妖怪と戦いまくってるだろう。






「待ってる―…かもね。」

「なんか答えが曖昧ね。………あ!見えてきたわよ」






少し古ぼけた小さな小さな家がポツンと置いてある…と言うような感じの家だった。
やはり貧しい家なのだろう。





「こんにちは!秀麗です!」





戸に向かって声をかけると、中から優しそうな男の人が出て来た。

これが生徒の父親か…。

道行く人々よりも少しボロボロの服をまとっているところを見ると、
裕福な暮らしはしてないようだ。







「おや、秀麗ちゃん。あと隣の彼は…」

「始めまして、といいます」

君か…なんだか静蘭君のようだね」





…。





「ふふふ、そう思いますよね」







ここでも言われてしまうか…。
あんなどす黒いような男に似たくはない。

秀麗や他の人にはいい顔しやがって…。

イラッとし出した瞬間、秀麗は慌てて生徒の筆を取り出して渡した。







「ありがとうございます。…あの子は忘れっぽいので…」

「いいんですよ。それでは私達はこれで」

「失礼します」








深々と頭を下げている生徒の父親に背を向けて外に出ると、秀麗がニヤリと笑っての手をとった。






「これで目標達成よ!!皆貴女が男の子って思ってるわ!!」

「そうだなぁ…あとは言葉遣いをもう少し男らしく行くべきだよな?」

「私はそんな感じでいいと思うわよ?」

「そっか…ならいっか」

「さて、早く家に帰って晩御飯の支度と洗濯物を取り込みましょ。早くしないと静蘭が帰ってきちゃう。」

「よし、帰ろっか(下剤があったら静蘭の食事の中に入れてやる)」




と秀麗はニシシッと笑いあうと、仲良く家まで手を繋いで歩いて帰った。

それが後に「秀麗に恋人ができた」という噂を広げることになり、静蘭を不服にさせる原因を作ってしまうのだった。

















アトガキ


だはははははは!!!爆笑
また間話でしたよ笑
きっとこれから秀麗と接することが少なくなると思ったので、
少しばかり秀麗夢…っぽく?してみました。
次回から男装したときの名前を使うので、名前変換よろしくお願いします。
皆ヒロインさんを男の子と間違えているようです。
言葉遣いも段々と変わっていく、予定ですv(何

2007.4.12(Thu)